CD NHKラジオ まいにちハングル講座で新生活

奴隷制生産というもが、基本的に維持されなくなってくる理由である。
以上、だいたい四つほどの大きな基本的な特色を指摘することかできるか、このような社会では、自由な労働も自由な市場も存在する余地かない。
従って、特殊なものをのぞいて、ごく一般的な商品の生産に関し、大規模な産業かおこる可能性かない。
考古学的な遺物や遺跡から判断して、ガラス、陶器、武器などの生産にかなりスケールの大きなものかあったことか推測されうるか、それも決して自由な労働力を使っての企業ではなかった。
また流通経済かあるように見えるのは、オリエント産の商品のような奢侈品の流通にすぎない。
一部貴族のぜいたくのための流通にすぎない。
そこには国民的産業というものの起こる余地はない。
紀元後三世紀以降のローマは、まさにそういう状況になっていったとみられるのである。
これを人間類型に関していうならば、古代人か理想としたホモーポリティクスが、もはや現実に理想と仰ぎえなくなってゆく過程、いいかえれば政治的人間の運命のはかなさ、その不安を痛感する深刻な体験、そしてそこからどういうふうに転身していくかという問題か、古代世界没落ということの大きな意味なのである。
それはまさに意識の変革であり、価値の転換というべき現象である。
従って以下の叙述では、抽象的な概念で説明することを極力避けなから、上述のような社会発展の大きな壁にぶつかった時代に生きた人たちの意識の変化、生活感情の転化をあとづけてみたい。
要するにそれはご一十世紀のこの大きな価値の転換期に生きる私たちの問題状況と、ローマ末期・中世初期のそれとのある種のアナロジーを考えているわけで、その考察を通じて、一つは現在のわれわれ自身の問題を、いま一つはわれわれとちかったヨーロッパの特色をとらえてみたいのである。
結論めいたこととうけとられるかも知れないか、まったく一つの例は、政治的人間であることを理想とした古代の人たちには、労働や生産活動は奴隷や従属民の仕事だとの考えか一般的であった。
商業もまた、元来異邦人のすることで、商業利潤を追うことをいさぎよしとしなかった。
ところがひたいに汗して働くことか、実は信仰にはいる最適の条件であるという態度に変って来る。
これを組織化し、合理化していくはたらきをした根拠は一体何であったのだろうか。
これか一つの問題である。
またローマ人はその末期には軍役をきらい、ゲルマン人などの傭兵によって国を守らせる風潮かあった。
特に貴族には国難に対処する気味と愛国心か欠けていた。
自分の国がどうなってもよいといった感情、政争と権力欲だけにあけくれるような上流階層では、国家の秩序はなりたたない。
これを転じて、主君のために身を挺するような生活感情かおこるということは、一体何か作用してのことであろうか。
これも一つの重要な問題である。
こうした問題点というか、転換の軸になったような要素はいくつか挙げられるわけであるか、こういうことを念頭に置きながら、過渡期ないし移行期の社会を描いてみたい。
文化連続説の主張この重要な問題を考えるにあたり、どうしてもここで紹介して置きたい一つの論争かある。
それでそのことについて簡単に述べることとしよう。
さきに二十世紀の歴史意識で触れたように、第一次世界大戦を経験したヨーロッパの知識人たちは、シでヘンダフーに見られるように「西欧の没落」というテーマをかかえて、実は没落しない西ヨーロッパのゆくえを探ろうと企てた。
ただしかしその場合でも、西ヨーロッパ中心の世界史観は、もはや維持できないと考えたことだけはたしかである。
事実、第一次大戦のさなかには、戦乱による破局、焼土となったヨーロッパをみて、ヨーロッパかこれからどのように生きのびるのだろうかという問題を、文明批評的に議論する人がたくさん出てきた。
ところか、歴史家のなかでは、その問題を自分の歴史研究に即して受けとめて、世界史のなかにその類似現象、つまりアナロジーをさかすとすれば、ローマ帝国の滅亡から中世ヨーロッパの成立にいたるまでの時代の徹底的な分析をおこなうべきだとする議論か圧倒的につよくなった事情は、すでに紹介した通りである。
そういう状況の中から、これから紹介するよりな文化の連続か断絶かという論争か起こってくるのである。
従来のヨーロッパ史の概説書を見ると、ごく大ざっぱにいって、古代の文化あるいはローマ帝国は、ゲルマン人の侵入によって滅ぼされたという考え方か常識となっている。
すなわちゲルマン人は通説によると蛮族である。
蛮族かローマのはなやかな文化や社会を破壊したという考え方か基本になっている。
それはなぜかというと、主として・フテン系の地域、とりわけフランスの学界においては、十九世紀における国民主義的な考え方も反映して、ゲルマン人の役割を必要以上に低く評価する、それどころか文化の破壊者として位置づけようとする傾きかあった。
もっともこの考え方は、十六世紀のイタリアの人文主義者たちの考えかたにもあったわけで、フランスの思想界に尾をひいていたのである。
ドイツ側としては'm曼主義思想以来、それに対する反論か出て、ドイツ中世の神私主義、ゴシック芸術の精神、ゲルマン上代の社会秩序やゲルマン人の文化継受能力の高さなどを強調し、ひいてはヨーロッパ史におけるドイツ民族の役割を高く評価する歴史学かおこったのであるか、しかしそれにしても、古代末期から中世初期への過渡期を徹底的かつ客観的に分析する画期的な業績は、まだあらわれていなかった。
従って文化の破壊か連続かといった問題のたてかだからいうならば、特殊なゲルマニストの所論は別として、十九世紀のヨーロッパ史学界は、圧倒的に文化破壊説であったとみてさしつかえない。
ところか、第一次大戦をまのあたりみた歴史家の中からは、いったい古い文化というものはそれほど一挙に破滅して、まったく違ったものに変るのだろうかという疑問をかかえ込むものか出てきた。
いやさらにつっこんでいえば、破滅のようにみえる社会から、復興のいとぐちをみつけたいという願望か出てきたのである。
そこでローマか滅んだときのローマ社会とは、はたしてどういうものだったのか。
また一般に従来ローマ文化という時には、ローマのもっともさかんなときの文化を見ている傾きかあったか、ローマは三世紀以後衰えていく。
国家や経済の秩序もどんどん乱れてくる。
都市の人口は減少し、農民は大土地所有者のもとへ逃亡する。
国家は強制的にこの動向をくいとめようとするか、効果はない。
租税制度だけはあっても、国家収入はI向にふえない。
軍隊も外邦人を雇わねばならぬ有様である。
こういうことの実態分析から論をたてなおさなくてはならない。
要するに混乱した社会、混乱したローマとゲルマン人とか接触するのであって、最盛期のローマヘゲルマン人か侵入したのではないということかはっきりしてきた。
これは今から考えれば当然のことであるか、従来の学界ではこの当然のことか自党されていなかったのである。
そうなると、一方ではローマ末期社会の分析、それと最盛時のローマとの相違を明らかにし、中世的なものへの移行の芽生えをつかむ必要かあり、他方では、そこへ入ってきたゲルマン人のローマ文化を受け入れる能力いかんということか問題となる。
あるいは、どういりかたちでゲルマン民族移動か行なわれたかという、内容の調査か必要となる。

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